松山匡助教らによる病院外で心停止した小児に対するアドレナリン投与の効果に関する論文が「Journal of the American College Cardiology」に掲載されました。

研究のポイント

  • 総務省消防庁の全国院外心停止患者登録データを用いて、これまで十分に評価されていなかった、17歳以下の小児の院外心停止患者に対する救急隊によるアドレナリン投与の効果を検証した。
  • 救急隊到着時の1次救命処置により自己心拍が再開しなかった心停止患者のうち、アドレナリン投与をした群のほうが、アドレナリン投与をしなかった群と比較して、病院前での自己心拍再開率が良好であることを示した。
  • 小児の院外心停止患者に対する救急隊による救命処置の重要性を明らかにする本研究は、院外心停止患者の蘇生率向上のためのエビデンスとして、国際心肺蘇生ガイドラインの改定にも大きな影響を与えると期待される。

 

研究概要

京都府立医科大学大学院医学研究科の松山匡 助教(救急・災害医療システム学)と大阪大学大学院医学系研究科の小向翔 助教(医学統計学)、北村哲久 助教(環境医学)らの研究グループは、小児の院外心停止患者に対する救急隊によるアドレナリン投与の効果を、新しい解析手法である「時間依存傾向スコア連続マッチング解析法※1」を用いて評価し、救急隊到着時の1次救命処置により自己心拍が再開しなかった心停止患者のうち、アドレナリン投与を行うことが心停止後の自己心拍再開の改善に関連することを示しました。

これまでにも成人の心停止患者に対するアドレナリン投与の効果を評価する多くの研究がありましたが、17歳以下の小児の心停止患者に対するアドレナリン投与の効果を検証する研究はほとんどありませんでした。新しい解析手法を導入することで、救急隊によるアドレナリン投与の実施が心停止後の自己心拍再開の改善と関連することを明らかにし、病院前救護における救急隊の処置の重要性を示しました。今後、本研究結果が国際心肺蘇生ガイドラインの改訂に影響を与えるものと期待されます。

本研究成果は、2020年1月14日に米国心臓病学会雑誌「Journal of the American College Cardiology」(オンライン)に掲載されました。

 

論文情報

 本研究成果は、2020年1月14日に米国心臓病学会雑誌「Journal of the American College Cardiology」(オンライン)に掲載されました

 

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